5年が経って都会の方で就職した俺はお盆に帰ってきた。電車を使って家へ向かう途中、車窓の向こうに流れる変わらない
田舎を眺めていた俺の前にふと誰かが座った。
「あ・・・としあき・・・?」



「・・・・・あっ」
顔を見た瞬間に5年前の記憶がフラッシュバックして俺は赤面した。
「としあきだよねっ?私、覚えてる?」
俺は何も言えずに頷いた。
「ひさしぶりやよね、4年・・・5年?としあき全然変わってないよね」
それから俺たちは埃の被ったアルバムを開くように、辿々しく昔話を始めた・・・・・・・・・・・。


同じ駅で降り、別れ際にアイツが言った。
「明日、七夕祭りあるの知っとるよね?一緒に行かん?」



大学卒業して夏まで居たから地元の祭りは4年ぶりだった。
待ち合わせの場所で会ったアイツは金魚の浴衣を来ていた。
そういえば昔の祭りでちらちらアイツを見るたびに浴衣を着ていたかもしれない。
「○○は夏、好きか?」
「うん、としあきは・・・・好きやよね。夏休み中あんた毎日カメラ持って私ん家の前通ってたし」
それも夏休みの間の俺の日課だった。知ってたらしい。
人混みの中を離れないように歩いていると何人か知ってるヤツが彼女やら彼氏やら連れて歩いているのが目に入る。
「ふふっ、みんな付き合ってんのな〜。あんたは・・・・・居るはずないかw」
俺は赤面してはぐらかすしかなかった。
のろのろと町中を回って終わり頃に俺たちも別れることになった。
アイツのことも気になったがそれ以上に祭りは楽しかった。別れ際にアイツが俺の肩を叩いて言った。
「まだもう少しいるんやろ?最後の日、花火大会やし、そんときも一緒にいこ・・・」
俺はなんとか頷いた。




つづく